日本マイクロソフトのLGBTへの取り組み(前編)〜社内LGBTグループ「GLEAM Japan」に聞いてみた!〜

ライター: JobRainbow編集部
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アメリカに本社を置き、ITの力で常に時代の最先端をリードしてきたマイクロソフト。今回はマイクロソフトの日本支社である、日本マイクロソフトのオフィスにJobRainbowインターンのヒロがおじゃましてきました!

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日本マイクロソフトのLGBTへの取り組み(後編)〜人事の児玉さんに聞いてみた!〜

はじめに

マイクロソフトと言えば、働きがいのある会社ランキング(従業員1,000人以上の部門)で2016年度一位に輝くなど、「Empower every person and every organization on the planet toachieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」というミッションの下、社員の働く環境づくりを率先して行っているイメージがあります。

そこで、今回は、そのようなミッションにLGBTの目線から取り組んでおられる、日本マイクロソフト人事の児玉さん、そして社内のLGBTコミュニティーである「GLEAM(Gay, Lesbian,Bisexual, Transgender Employees at Microsoft) Japan」のメンバーのユウコさん、ヒロタカさん、リョウタさんにインタビューにお答えいただきました。

パソコンを開いてお話するGLEAM Japanの方々の画像
インタビューに答えて頂いたGLEAM Japanの皆さん

GLEAMJapanとは

-発足のきっかけ

ユウコさん

そもそもアメリカ本社では80年代後半から組織自体は発足していました。しかし日本ではメーリングリストがあるだけで、実態が全くないという状態でした。
2013年にメンバーのひとりから「レインボーパレードに参加しませんか?」という連絡をもらい、それに私が返信をしたところから、日本でグループが発足しました。

−どんな活動をしているのでしょうか?

ユウコさん

発足当初は、飲み会などを開催するのみの当事者だけの小規模な組織でした。当時は会社のダイバーシティーの活動においても、LGBTに関する取り組みはなされていませんでした。ただ、会社としても課題意識を持っており、タイミングが良かったこともあって人事部長と話し合うことができました。
その結果、就業規則を改定し、「配偶者、パートナー(同性婚も含む)」という文言を入れてもらうことができました。現在は、20名ほどのメンバーで、社内でアライを増やすイベントを実施したり、アライのパンフレットやステッカーを作成して配布したり、役員、マネージャー、新入社員、人事部への研修などを行っています。

LGBT+アライの社内イベントの画像。前にプロジェクターがあり、十数名の人が話を聞いている。
LGBT+アライの社内イベント

LGBT社員のカミングアウトの範囲

− 社内でどの程度カミングアウトをしていますか?

ユウコさん

私は半々くらいですね。業務時間中にGLEAMの活動をすることもあるので、上司には話をしています。また新入社員向けの研修を行っているので、ここ2、3年の新入社員は知っていますね。
あとは個人的な付き合いがある人に話したり、ちょっとしたクリスマスパーティにパートナーを連れて行ったりしています。特に若い人には言っていますが、中堅の方にはあまり話せていないので、徐々に話していけたらいいなと思っています。

ヒロタカさん

私も半分くらいです。レポートラインのマネージャーや上司、シンガポールで一緒に仕事をしている同僚、また個人的に仲良くしている社員には話しています。社内のアライイベントなどに参加してくれた人には抵抗なく話していますね。
ただ今後全員に知ってもらおうと思っているわけではないので、聞かれたら答えるけれども、積極的に当事者であることを伝えていこうとは特に考えていません。

リョウタさん

私もスタンスはヒロタカさんと同じで、隠してはないけれど自分からは言わないという感じです。GLEAMとして活動していることはチームのメンバーは知っているので、勘のいい人ならそういうことだとわかると思いますが。チームにはアライの人もいます。上司にはカミングアウトをしており、GLEAMの活動に対してはポジティブなコメントをもらっています。

東京レインボープライドで、GLEAMの人たちが沿道の人たちとハイタッチしている画像
GLEAMが参加した、東京レインボープライドの様子

率直なところ、マイクロソフトの職場環境ってどうですか?

−皆さんそれぞれ所属部署が違いますが、周りで働く人の理解度はどうですか?LGBTに対する言葉が気になったりすることはあるのでしょうか?

ヒロタカさん

私のチームは海外で育った人や留学経験のある人が多く、例えばサンフランシスコなどではLGBTの人がいるのが当たり前の環境なので、あえて学ぶほどのものでもないとい うレベルの人が多く、カミングアウトをしても「ああそうなんですね」くらいの反応をされるような感じです。

リョウタさん:

私は他のIT系の会社から転職してきましたが、マイクロソフトは外から見ると先進企業で期待値が高かったです。ですが、実際の社員は一般の日本企業と変わらないことが多いです。みんなが興味関心を持っているわけではないですし、それはどうなのかな、という発言を聞くこともあります。私が当事者であることを知っていて直接的に差別発言をする人や、表立って批判的な発言をする人はもちろんいませんが。

ユウコさん:

マイクロソフトのグローバルポリシーとして 、性的指向等を理由に差別をしてはいけないと決められているので、それを守るのは当然で、そういう意味ではLGBTに限らず差別的な発言はあ りませんが、知識がないために傷つく言葉を発したり、微妙な話題が出ることがないわけではありません。個人を指して中傷するようなことはありません。

− そういった体験や実感はGLEAMの活動に反映されていますか?

ユウコさん

自分たちで研修を実施していますが、研修の内容のベースになっているのが我々の経験なので、「こういうことがあった」「こういうときはこう対応してくれると嬉しい」というように、内容に反映できます。
研修に対する反応は、初期の頃は、LGBT に対する純粋な興味や新鮮さから聞いてくれている感じがしましたが、最近は徐々にLGBTという言葉が浸透してきていますし、面接で「マイ クロソフトはLGBTが働きやすいと聞いたので志望しました」と話す方が出てきたりと、少しずつマネージャー層にもささり始めていると思います。

−GLEAM Japan があってよかったと感じることはありますか? 

ユウコさん:

自らのセクシュアリティをクローゼットにしなくていいことです。セクシュアリティ自体について直接話すのではなく、GLEAMの活動を通じて伝えられるのはいいですね。 
また、日々の業務とは別に、LGBTだからこそ会社に貢献できる方法があることは、仕事への充実感につながっています。長く働きたいと思いますね。

リョウタさん:

会社へのロイヤリティーは上がっていますね。他の参加者も、おそらくGLEAMの存在が会社に対するポジティブな理由になっているように思います。

インターン生のヒロと、GLEAMのリョウタさんが並んで立っている画像
GLEAMのリョウタさんと

今後 GLEAM Japan でもっと進めていきたいことは?

ユウコさん:

先ほども話したように、LGBT に関してあからさまな差別的な言動をする人はいません。ですが、LGBT の人が働きやすい環境を作るためにはそれだけでいいわけではなく、もう少し受け入れる、カルチャーを作っていくことが必要だと思っています。
特に、営業のような対外的な業務の部署では、GLEAM Japanに参加している当事者やアライの人数が少ないのが実態です。参加している社員の中にも「部署でカミングアウトは考えられない」という人もいます。

リョウタさん:

理由は定かではないですが、対外的業務ゆえに、社内の環境改善に関わる事のプライオリティーが 低い、ビジネスとして利益につながらない、と考える雰囲気があるのかもしれません。 
ですが、例えば採用面でもLGBTに取り組むことは意味がありますし、新たな価値を生み出すための柔軟な思考も得られます。また、そもそもお客様にもLGBTの人がいる可能性があるので、関係ないということはないですよね。彼らだけでなく、「LGBTは自分とは関係がない」と思っている人にもっと興味を持ってもらえるようにしたいと考えています。無関心が一番の課題かもしれないですね。

GLEAM Japan メンバーから求職者へのメッセージ

ユウコさん:

マイクロソフトは本当にいい会社ですよ!と伝えたいです。GLEAM Japanの活動もそうで すが、自分自身で考えて行動すると組織や上司も耳を傾けてくれて、一緒に考えて行動して次につ なげる姿勢のある会社です。
困難に当たることもあるかもしれないですが、GLEAM Japanで一緒に活動していきま しょう。

リョウタさん:
同じく、問題があったとしても前に進めていける可能性を感じています。 
マイクロソフトの特長として「One on One」という定期的に上司と一対一で話せる場が設けられていますが、業務のこと以外にも雑談や困っていることも気軽に話題に出来ます。 
本当に社員の力で会社を作っていると実感できています。「社員の声を聞いてくれる会社」ですね。 もし入社後「思ったのと違う」と感じても、解決していけますし、自分から解決していける気概があれば是非来てください!

【ヒロの感想】

発足が 2013 年末、つい 3 年半4年前と案外最近な事が驚きでしたが、そう感じさせるのは、社員 が互いに意見に耳を傾ける姿勢とそれを実現させる意思決定の早さがあるからのようです。そう言ったマイクロソフトのカルチャーが、GLEAM Japan を LGBT 当事者だけでなく非当事 者も巻き込んだ活動にしていくのを促しているように感じられました!

また、お三方のメッセージにもあるように自分たちの会社、そして活動に誇りを持つことは、社内の環境を整えることがビジネスにおける生産性を向上させるものであって、ダイバーシティー及びインク ルージョンを推進する重要性を改めて認識させられました!

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