H&Mのダイバーシティを直撃!どうしてそんなに「自分らしく」いられるの?

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H&Mのダイバーシティを直撃!どうしてそんなに「自分らしく」いられるの?

はじめに


H&Mにインタビューに行ってきました!
H&Mといえば、スウェーデン発祥のアパレルメーカー。
低価格かつファッション性のある衣料品を扱っており、街で見かけたり、買い物をしたことのある人も多いのでは?
ダイバーシティとインクルージョンを大切にしており、トランスジェンダーのモデルを積極的に起用したり、既存のジェンダー概念に挑戦するような広告を作ったりと、ダイバーシティを推進するようなマーケティングを行っています。
今回インタビューに応じてくれたのは、CSR マネージャーのAngela Ortizさん、ストアマネージャーのShigefumi Yamauraさん、ヴィジュアル・マーチャンダイザーのMegumi Yotsuyanagiさんの三名です。

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目次
1.H&Mの企業理念と多様性
2.社内で働くLGBT社員
3.社会への影響力を活かして
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1.H&Mの企業理念と多様性


<全身タトゥーでも働ける!?見た目とサービスは関係ない!徹底的な「自分らしさ」追求>

-H&Mがインクルーシブ(包括的)だと感じる点は?

Angela: 私は転職してきたんですが、H&Mのインクルーシブネスには感銘を受けました。
H&Mで働いていて本当に好きだなと思うのは、どんな日であっても、いつであっても、自分が自分らしくいられると感じることです。気分に関係なくね。
どんな服を着ていようと、それで勝手に決めつけられるってことがないんです。カジュアルな格好をしていても、すごく忙しい時にはそれが表に出ちゃうときもあるけど、変な目で見られることはない。

Shigehumi: ダイバーシティの定義にもよるけど、H&Mのダイバーシティの考え方は好きですね。人の見た目で、その人の可能性を限定しないんです。見た目じゃなくて、個人のパーソナリティを見ていますから。働いている人がH&MのValueを大切にしている限り、とても良い環境だと思います。

Megumi: 私はH&Mが初めて入社した会社となりますが、とても働きやすい環境です。2回の産休をとったのですが、昇進したり、違うポジションに応募することもできました。

-転職前の企業と比較してどうですか?

Angela: 23歳の時に日本企業で働き始めたんですけど、イヤリングはダメ、メイクもダメ、理由もないのに、パーソナリティを表現することはすべてダメって言われました。会社に入った瞬間に、私っていう人間を捨てて、会社の色に染まらなくちゃいけない。だから、その企業とH&Mを比べた時に、全く違う環境だなって思いました。
-特にインクルーシブネスを実感した出来事などはありますか?

Angela: 名古屋で働いている同僚に、どうしてH&Mに入社したのか聞いたことがあるんですが、「タトゥーがある自分を受け入れてくれる会社だからだ」と言っていました。彼は首も、腕も、全部タトゥーで覆われていて、圧巻でしたね。私たちは、個人のパーソナリティや表現は、その人のカスタマーサービスとは関係がないって考えているんです。私たちのカスタマーは、質の高いサービスを受けることができるけれど、それは、従業員の見た目とは関係がないっていう考え方なんです。

-その企業風土はどこから生まれて来ていると思いますか?

Angela: H&Mは、すごく個人個人のパーソナリティに対してオープンな会社なんですよね。LGBT、人種、ジェンダー、こういった多様性を推進する風土は、企業が創立されたバリューから生まれてきてるんです。

H&Mのバリュー

人を大切にする 
起業家精神
確かな進歩
ひとつのチーム
コストコンシャス
率直かつオープンマインド
いつもシンプルに


Angela: 人を信じること、起業家精神、着実に進歩していくこと、誰かが失敗しても嫌な反応をしない…さっきのフィードバックカードもですけど、人がミスを恐れないで伸びていけるように。あとコストコンシャスですね。いわゆるもったいない精神を大事にすること。日本では「もったいない」っていう言葉があるのでそういった文化が根付いているんですけどね。あとは、率直でオープンマインドであることを大切にし、いつもシンプルに…最後のやつは難しいですね。いつも沢山のことを考えなくてはいけないので(笑)
こういった創業当時からのバリューがあるので、こういう環境で働きたい人も集まってくるんだと思います。


-こうした企業理念を根付かせるような仕組みはありますか?

Megumi: H&Mのバリューを社員が共有するシステムがあるんです。グリーンフィードバックカードというものがあって、それぞれのバリューを社員同士で評価しあって、メッセージを送りあうことができるんですよ。こういうところが好き、とか、このあいだのことはありがとう、とか。なので、企業理念を通じて、社員がコミュニケーションを取ることができる仕組みになっています。

2.社内で働くLGBT社員


<リラックス方法は「ゲイであること」…一体どういう意味!?>

-LGBT向けの福利厚生はありますか?

Angela: そもそも性別やセクシュアリティにかかわらず、結婚祝い金などの制度がないんです。日本企業だとそういった文化があることは知っていますけど、H&Mにはそもそもそういった文化がありません。

-オープンに働いているLGBTの社員さんはいますか?

Angela: LGBTの人がどれくらい働いているかっていうのは、数値では出していないと思います。そもそもそういった調査をしていないんです。でも、数字的な面は分からないけれど、沢山のゲイの同僚が働いていますよ。
人生でこんなに沢山のゲイの同僚に囲まれたことがないってくらい。マネージャー以上の人だと、ヨーロッパから来てる人も多いけど、体感では30%くらいLGBTかもしれないです。

-それはすごいですね。周囲の雰囲気はどうですか?

Angela: 一人の同僚の例で言うと、彼は、ここで、ありのままの姿で働くことに喜びを感じているんだって感じています。だから、隠しもしないし、自分はゲイだって口に出して言うんです。そして、周りの社員は皆それをウェルカムしています。彼はとても良い従業員なんです。とても明るいし、元気。だから、他の同僚もみんな彼と働くのが大好きです。職場の全員にとって、とても良い経験だと思います。

Shigehumi: 私たちは、「自分らしく」いることを推奨されるんです。だから、慣れているんだと思います。

Angela: この会社には、社員のみんなが、一人一人のスタイルを愛して、お祝いするような雰囲気があるんです。とても面白いと思います。私、先週、同僚の一人と話をしていた時に、「リラックスしたい時、どうしてる?」って聞いたんです。そしたら、彼は、「おいおい、自分はゲイだよ。それがリラックス方法。」って答えたんです。
私は「どういう意味!??」って感じでしたけど(笑)
「いろんな人が、自分のところにやってきて、色んなことを聞くんだ。これについてどう思う?これはどう?って。」って言うんですよ。彼、とっても目立つし、それが好きなんです。「ゲイであることがリラックス方法なんだ。だって、ゲイだからね」ってスタンスなんですよね。とっても面白いと思いました。

Megumi: でも、社内には、あまりおおっぴらにはしていないゲイの人もいると思います。数人の人しかそのことを知らなくて、その人たち以外には秘密にしているっていう人も。どれくらいかは分からないですけど。
私たちは、気にしないんです。ありのままの自分であれ、っていう、それだけです。
言おうと言わまいと、どっちでもいい。

Shigehumi: 仕事には関係ないですからね。

Angela: 面白いポイントだと思います。他の外資系企業でも同じかは分からないけれど、私たちの会社は成果主義なんです。どうやって結果を出したか、とか、どんな服を来て結果を出したか、とか、どんな友達のおかげで結果を出したか、とか、そういうことは全く関係なくて、1日の終わりまでに何をしたかっていう事実だけで評価される。
だから、その視点から言うと、他のあらゆることについてはあまり気にしなくていいんです。

Shigehumi: 他の点についてあれこれ考えるのは、シンプルではないですからね。それが、H&Mの感覚なんです。

3.社会への影響力を活かして


<12品目のサラダとダイバーシティの関係>
-H&Mの影響力を活かして、どのように社会に貢献することができると思いますか?

Angela: そうですね…採用を通して、ということは一つ言えると思います。日本の中でもっと知名度を上げ、H&Mに入社したい人、この企業に合う人に入ってもらうこと。

Shigehumi: あとは、H&Mが、ダイバーシティに富んだ企業として成功することで、他の企業が追随するようなロールモデルになることだと思います。

Angela: H&Mはリーディング企業ですけど、あんまり先に進み過ぎても、今の社会環境や他の企業を置き去りにしてしまうことになるんです。社会を変革させながら一緒に前進していくことが必要だと思っています。
とはいえ、H&Mはまだまだ成長途中の企業で、間違いを起こしてしまうこともあります。そういった間違いのあと、現在では、企業内にダイバーシティ&インクルーシブという新しい部署を立ち上げて、世界中のH&Mの商品が差別的なものになっていないかを確認するようにしています。
あとは、自分たちと取引する会社には、公平と平等の指針にもサインしてもらっています。

-その指針とは?

Angela: H&Mには公平で平等な職場作りの指針があるんですけど、そこにはジェンダー、人種、性的指向、肌の色、年齢に関係なく働くことができるということが書いてあります。
そして、H&Mのビジネスパートナーには、必ずこの指針にサインをしてもらうということになっているんです。新しい契約をする時に、この指針にサインをしてもらって、その企業にも頑張ってもらうし、H&Mもその企業の公平と平等を応援するっていう、そういう仕組みです。だから、チャリティの会社、ケータリングの会社、物流の会社、地主、かかわらず、この書面にサインをしてもらいます。
また、入社時にも、一人一人がこういった指針に同意するというサインをします。

-プロモーションを通じてどのような価値観を発信していますか?

Angela: 昨年、“H&M for Every Victory”というキャンペーンを行ったんですが、このキャンペーンでは、トランスジェンダーのオリンピック金メダリストのケイトリン・ジェンナーや、ダウン症の女性チェルシー・ワーナー、片足を失ったアスリートの方などをモデルとして起用したりと、色々な特徴を持っている人にスポットを当てているんです。
これが、H&Mの世界の見方です。
H&Mは、“あらゆる人のための”ファッションブランドなんです。
若い女性、年老いた女性、赤ちゃん、若い男性、トランスジェンダー、その人がそうありたいと願うスタイルを探せば、H&Mで見つかるように。
それが、私がH&Mの大好きな点の一つです。
これはビジネスにも直結していることだと思うんです。世界を見ていると、多くの人々が、そういったあり方を望むように変化してきているように思います。

-最後に一言どうぞ!

Angela: 日本には健康を気にする人も多くて、「12品目の野菜」とかの商品も人気ですけど、それがダイバーシティだと思うんですよね。
チキンだけ食べてたら不健康でしょ。それと同じで、白人だけ、ヨーロッパ人だけ、みたいに同じ人ばっかり集めてたら、一つの価値観しか生まれない。対比もないし、成長もない。
多様性のある職場っていうのは「12品目のサラダ」みたいなものだと思うし、それは怖いものではなくて、会社をずっと強くするものだと思うんです。H&Mはそれを反映してると思いますね。

-ありがとうございました!
*本記事は、実際のインタビューの内容を基にして再構成しています。