LGBTである・ないに関わらず「一組に一つの結婚式」を。 グローヴエンターテイメントってどんな会社?中村専務にインタビュー

ライター: JobRainbow編集部
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はじめに

2017年6月1日、札幌市で政令指定都市では初となるLGBTのパートナーシップが認められた。そんな札幌市には制度ができる以前から、LGBTのカップルの結婚式もいくつか執り行なってきたブライダル企業がある。「一組に一つの結婚式」を生み出す、グローヴエンターテイメントだ。今回、社長を筆頭に、管理職と人事がLGBT研修を新たに受け、より多様な人材を受け入れていこうと踏み切った。

2001年創業と若い会社ながら、地方創生を掲げ、函館や岩手、秋田など地方を中心にいくつもの拠点を構える新進気鋭のブライダルベンチャーであるグローヴ。重労働で離職率が高いと言われるブライダル業界で、圧倒的な働きやすさを誇るこの会社が大切にしていることとはなんなのか、専務取締役の中村さんにお話しを聞いた。

※こちらの記事は2017年6月に執筆されたものです。

LGBT研修を受けて

秋田の海で一斉にジャンプするグローヴの社員

これまで、LGBTを含む多くのお客様と接してきたという中村専務だが、改めて研修を受け、「知ったつもりでいたけど、知らないことも沢山あった」という。「部下や同僚にもしLGBTがいたらこんな風にすれば良いのか、こんなところに困るんだなと、新しい発見が沢山あり、研修を受けて本当に良かったと思います。」研修中も、中村専務含む幹部陣からは沢山の質問が飛び交い、個々の経験と照らし合わせながら、真剣に、自分なりに理解をしていたのが印象的だった。

そもそも個人として全く偏見がなかったという中村専務だが、これからも部下にLGBTがいても、対応が変わることはないし、むしろ個性として、必要なことには配慮していきたいという。「特別対応を変えていくということではなく、人対人としてこれまでもこれからも接していきますね。」

社内のダイバーシティについて

風通しがいい職場で仲良く集合写真を撮る社員たち

「多様なお客様へサービスを提供する上で、多様な社員がいることは当たり前のこと」、そう熱く語る中村専務。「これまで(求める人材を)固定して、枠を狭めて、こういう人じゃなきゃいけないというのは、一切設けてきてきませんでした」。実際にグローヴでは、LGBTであったり、男女が関係ないのは勿論、国籍の部分でも、外国人採用を掲げ、ギニア人、フランス人、マレーシア人、中国人等、本当に様々な人が働いている。

「ブライダルは色々な人を相手にしなくてはならない仕事です、つまり私たちも色々な人がいなくてはいけません」。外国人というバックグラウンドをもつ方でないとできないことがあるように、外国人に関わらずその人個人としてしかできない仕事もたくさんある。そこからグローヴの採用における、根本的な考え方が生まれている。

多様な人材の受け入れにあたっても、特に苦労したこともないという。「結局人と人との付き合いなので、性別とか国籍では一切対応は変わりません、根本的な悩みも、求めていることも突き詰めるとあまり変わらなかったりします」。社員一人一人を個人として平等に見ているからこそ出てくる言葉がそこにはあった。

多様な働き方を認める柔軟な風土

会社のトップである佐藤社長自ら、社員は全員平等であるとの考えを常に発信しており、そもそもの社風として多様性を受け入れる風土があったというグローヴ。実際の働き方においても、残業を一定時間超えると出社がそもそもできなくなるなど、ブライダル業界としては異質とも言える、社員の『働き方へのこだわり』が光っている。

「まずいい会社を作りたい、それだけなんです。求められれば社員のプライベートにまで耳を傾けられる、そんな会社をつくりたい、人数が増えていくとなかなか難しいと言われる事があるが、本気で家族の延長線上みたいな会社になりたいですね」。一般的な会社では、勤務時間を変えたい、働き方を限定したい、といったことを制度や仕組みの範囲外で主張することは認められないだろう。しかし中村専務はそれすらも、今あるルールに関わらず、オープンにしてもらいたいし、それを許容できる環境でいたいという。

「グローヴに入ったからには絶対に後悔してもらってほしくない。勿論何がなんでもオープンにしなくてはいけないという事ではなく、どこまでオープンにするかも含め、その人個人に合わせて対応していきたいと思います。会社として個人をしばるのではなく、個人がいかに働きたい会社でいられるかを考えています。」

現在、約150名の全社員との個人面談を一年間を通して行おうと動いている中村専務だが、それも課題を見つけるということではなく、現状把握をきちんとし、個々の社員に向き合いたいからだ。何に困っていて、何がしたいのか。面談の中ででてくるのは仕事外のことが多いそうだが、そんな部分でも会社としてきちんと面倒をみていきたいという。今後の面談の中でもLGBTであることを新たに話してくれる社員もいるかもしれないが、ちゃんと話を聞いて、そのことに関わらず最後まで個人として向き合っていく、そう語る中村専務のまっすぐな目は真剣だった。

人材=会社

グローヴの社員7名

なぜそうまでして人材に拘るのだろうか?「どんなに建物を建てようが、良いアイテムを仕入れようが、働いている人に会社は依存します」。LGBTであるか否か、外国人であるか否か、女性か男性かに関わらず、良い人材に働いてほしい。会社としていろんなお客様がいて、いろんなフォローをすることができるグローヴだからこそ、そんなことは個性の一つでしかないのだ。

「LGBTの方が入社するにあたっても、商品の開発とかよりも、まずそういった人たちがどうやったら良く働いてくれるのか、そこを見ているし、力を入れていきたんです」。LGBTブームと言われる中、セクシュアリティに関わらず、誰しもが一生働きたい会社を作ろうという想いが言葉の節々から伝わってきた。

中村専務にとってグローヴってどんな会社?

「いつも『人、人、人』と、言っている会社です。入社時の配慮でいうと、その人がLGBTの誰かとかに関係なく、これまでも色んな人の個々の事情に配慮してきました。」他社と比較しても、驚くくらい人に割く時間が多いと、他から転職してくる社員の声も聞こえてきたくらいだ。とにかく一回面倒をみると決めたら、徹底的に面倒を見ていくのがグローヴのスタイルだ。

ブライダルという言葉がまだメジャーではなかった10年以上前からこの業界に身をおく中村専務は、ブライダルが本当に好きだという。「でも今は少し変わって、比重は人になっています。とにかくここで働いている人が自分の主軸になっていて、ブライダル以上にグローヴという会社が好きです。」

手を挙げた人にチャンスを

グローヴの社員同士で開催されているパーティ

中国人の新入社員が、中国市場に向けた新規事業を展開し、事業の責任者を務めるなど、新入社員でも多くのチャンスが回ってくる環境が整っているように感じるが、中村専務いわく、手を挙げない人に、いかに手を挙げてもらえるか、そして手を挙げた人をいかに見逃さずに、チャンスを与えられるかを常に意識しているそうだ。

どうやって裁量を渡せるかはいつも頭を悩ませる部分だというが、その分任された社員の成長スピードはものすごい。今、各店舗でトップを張っているのも、もとをたどると右も左もわからず、ブライダル業界の経験がない新入社員で、新しい環境に入り、叩き上げで成長している結果だ。「マニュアルを見て、決まった枠の中でやるというよりは、自分で考えてものごとを進められる会社ですね、成長しやすい環境だからこそ、失敗も沢山します。」

「マニュアルを見て、決まった枠の中でやるというよりは、自分で考えてものごとを進められる会社ですね、成長しやすい環境だからこそ、失敗も沢山します。」

求める人材は?

「自分軸じゃない人ならいいです。人のために何かできる人。ブライダルの基本となる考え方を持っているか、それだけです。」

中村専務がもつ結婚式へのこだわり

「10数年この業界にいますが、天職だと感じます。お客様と誠意をもって話すと、みんなやりたいことは違う。結婚式って窓口で諦めている人が多いんです。でも実はやりたいことがある、そこにきちんと目を向けなくてはいけないと思っています。」

15年前、まったくLGBTという言葉が日本になかった頃、別の会社で働いていた時に同性カップルの方が結婚式をあげたいと訪ねたことがあるそうだ。「その時は、チャペルの牧師さんが宗教上の理由からお断りしてしまったんです。でも私からしたら全然意味がわからなかった。幸せになりたいと願っている人が目の前にいるのに、それを叶える事ができなんておかしいと、ずっと疑問をもっていました。」

グローヴでは最初からLGBTであっても違和感なく受け入れていける環境があったと語る中村専務。「自分たちの結婚式ではなく、お客様に喜んでもらえる結婚式をつくる、色んな人の要望に答えていく、それがこれからもやりたいことですね」

おわりに

重労働で離職率が高いと言われがちなブライダル業界の中でも、圧倒的な働きやすさを誇るグローヴでは、「多様なお客様へサービスを提供する上で、多様な社員がいることは当たり前」と考え、LGBTであるかに関わらず、全ての人が働きやすい環境が、全てのお客様の幸せにつながるという価値観を大切にしていた。

地方という、LGBTにとって生きにくい環境だからこそ、こんな企業が増えること、そしてより多くのLGBTのカップルが幸せな結婚式を挙げれるようになることが大切なのだと思う。いつの間にか、ゲイとして結婚式を挙げることを諦めてしまっていた自分だが、こんな素敵な方達となら、いつか大切な人と挙式を挙げてみたいと思わされた、嬉しい驚きだった。

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