アイエスエフネットのLGBTへの取り組み(後編)〜社長インタビュー〜

ライター: JobRainbow編集部
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前編ではアイエスエフネットグループが取り組むダイバーシティについてお話しを伺いましたが、後編ではLGBTへの取り組みについて具体的にお話しをしていただきました。

前編はこちら
アイエスエフネットが取り組むダイバーシティ(前編)〜社長インタビュー〜

1.アイエスエフネットがLGBT関連の事に取り組み始めたきっかけは?

アイエスエフネット社内の様子

LGBTの方の雇用は30大雇用の一つとして、障がいのある方や女性の活躍、外国人の雇用と同様に取り組みを始めました。このような取り組みがあったことで、弊社ではLGBTであることが問題になるような環境ではありませんでしたが、ワードとして打ち出すことで、見えなかったことが見えたり、当事者にしかわからない配慮を行き届かせることができると考えました。

LGBTの方への配慮として、職場の意識改革、見た目や振舞いや行動を周りが理解する事、そしてオープンとクローズドの本人の意思を尊重する事が大切だと思います。実際、弊社の場合は、以前から多様な人がいるので、LGBTはその中の個性やあり方のひとつとして認識されています。

しかし同時に、LGBTが13人に1人いると言われている中、弊社の場合であれば、230人近い従業員がLGBTに該当しますが、オープンにしている社員の割合がまだまだ少ないのも現実です。なので、その人がオープンにしたい時にオープンにできる環境をつくり、より生きやすく、働きやすい職場作りを、今後も根気よく続けていかなくてはならないと感じています。

2.LGBT社員を受け入れた際の社内の反応は?

実際にトランスジェンダーの社員も働いていますが、通名の利用も認めており、社内制度の中でも自認する性での取り扱いをしています。服装等もその人のありたい性で整えてもらっています。ただし、LGBTだからと言って、特別扱いし、なんでもOK、というわけではなく、最低限のマナーやルールはその人の性自認に乗っ取った上で、守ってもらうようにしています。

また、社内でオープンにしている人でも、あえてそれを聞くこと、話題にすることはしないです。弊社には、34ヶ国もの人がいて「あの人は韓国人」だとか「あの人はインド人だ」とか、見た目でわかっても言わないのと一緒です。国籍ではなく個人としてその人を見ているんですね。なので、LGBT社員も特別扱いではなくて、他の様々な社員と並列に扱っているし、社員同士もそう接しています。

3.LGBTをサポートしていく上で行政や企業などに必要だと感じる事は?

会議室で話し合う渡邉社長とインタビュアー

例えば、私が以前勤めていた外資のIT企業では、まず個人のバックグラウンドや性別、人種、障がいの有無に関わらず、優秀な人財を採る事を第一にしていました。そして、多様な人財を受け入れていくために制度や環境を整えることで、早い段階から優秀な人財を囲い込むことに成功し、更に前例ができたことでコンスタントに優秀な人たちが入ってくるという好循環が生まれていました。日本企業も、そのような価値観、戦略を持てるようになればいいと思います。

また日本は、昔から違いを受け入れる文化があまりないように感じます。今でもLGBTであることが見た目や行動からわかってしまう方やオープンにしている方に対して、奇異な目で見る事がまだあり、当事者の人がオープンにできる環境にはまだないと思います。
しかし、本来人間はどんな人でも受け入れられる存在です。差別をする人間というのは想定できる範囲が浅いことで、見えない問題、初めて会う存在に驚き、恐怖を感じているだけだと思います。

だからこそ、例えば、「誰がカミングアウトした」とか「渋谷区でパートナーシップ法が施行された」といった様な事も「想定内」として、話題にならない位、当たり前な世の中になる事を願っています。

4.読者へのメッセージ

多くの人が、大なり小なり受け入れてもらえない事や、自分の事が言えない、などの辛い経験をしてきたことがあると思います。今は少しずつ社会も良い方向に向かってきていますし、弊社でも安心して働ける環境作りに取り組んでいます。当事者にしかわからないことも、たくさんあると感じていますので、就活生や転職中の方と、私たちももっと向き合っていきたいと考えています。是非、弊社に来てください!

5.おわりに

言葉や理論にばかり頼って中身のない施策をするのではなく、働くのが難しい境遇にある方に、愚直に真摯に向き合っている渡邉さんは、本当に人としての温かみがとても印象に残る方でした。

そんな渡邉さんの考えや文化が浸透している組織だからこそ、生活保護受給者を100人以上雇用したり、産後復帰率100%を達成する等、驚きの施策を実現しながらビジネスとしても成り立たせることができる組織をつくることができたのだと思います。

そして、インタビューの際におっしゃっていた、金銭だけでは満たされない幸せを重要視していくというのは、忘れられがちだけど、ダイバーシティの根本的な考え方なのではないでしょうか。多くの日本企業並びに日本社会が、アイエスエフネットさんのように多様な人々を受け入れられる環境になれば嬉しい限りです。

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アイエスエフネットが取り組むダイバーシティ(前編)〜社長インタビュー〜

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