LGBTカップルの結婚式を担当したウェディングプランナーにインタビュー

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LGBTカップルの結婚式を担当したウェディングプランナーにインタビュー

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はじめに


LGBTにとって結婚式を挙げることは様々なハードルがある。

「会場がそのことを知っても受け入れてくれるだろうか」
「同性カップルでも、教会で挙式をあげられるのだろうか」
「他の結婚式とバッティングして、アウティングに繋がらないだろうか」
「ゲストのLGBTのプライバシーは守ってもらえるのか」

式場選びから足を止めてしまう方が日本では殆どだろう、もし式場を見つけられても選択肢が限られ、思ったような挙式を挙げられないこともある。

渋谷から始まり、LGBTのパートナーシップが認められる中、実際の結婚式を挙げることの不安や困難への理解は思うように広まってはいないのが現実だ。そんな中、2017年6月1日政令指定都市では初となるLGBTのパートナーシップが認められた札幌市では、制度ができる以前から、LGBTの結婚式を数多くこなし「一組に一つの結婚式」を生み出してきたブライダル企業がある。それがグローヴエンターテイメントだ。

LGBTにとっても閉鎖的とみられがちな地方を中心に結婚式場を展開するグローヴでは、これまで具体的にどうLGBTカップルと向き合ってきたのだろうか。実際にグローヴでトランスジェンダーカップルの挙式をつい2年前に担当した、ウェディングプランナーの岸川さん、コンシェルジュの伊藤さんに、お話を聞いた。

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目次
1.お二人との出会い
2.カミングアウトは最初の打ち合わせで
3.どういった流れで結婚式のプランニングをしたのか
4.まるでライブ!?幸せいっぱいの結婚式
5.カミングアウト、生い立ちムービーに対するゲストの反応
6.今回の挙式を通じて学んだこと
7.グローヴが他の結婚式と違うのは「人」
8.お二人からのメッセージ
9.最後に
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お二人との出会い


一番最初にご案内を担当したのはコンシェルジュの伊藤さんだ。一般的なウェディングプランナーの場合、相談者の窓口となるところから、会場決めや当日のお手伝いまで一貫して対応するものだが、グローヴでは分業制にすることで、プランナーがカップルの自分らしい結婚式を挙げることへのサポートに専念できるようにしている。「例えば、結婚式当日にご案内が入ってしまうとプランナーは本来集中すべきことに集中できなくなり、パーティスタッフに一任することもある、そこの案内を担当し、適切なプランナーに引き継ぐまでが私たちコンシェルジュのお仕事なのです」と伊藤さんはいう。

当初、トランスジェンダーのカップルだということは知らなかった伊藤さんだったが、「おふたりの格好をみてレゲエ好きだとすぐわかり、そこから打ち解けることができた」そうだ。そこから式場近くのライブハウスで行われた、レゲエアーティストのライブでおふたりが出会ったことを知り、すぐさまその時の曲を入場曲にして、模擬挙式をセッティングしたところ、おふたりとも感極まって涙を流した。

「後日談ですがおふたりの中では当時、式場は決まっていて、そこに行くついでに、時間が余っていたのでうちの式場に寄ってきて頂いたそうなんです。おふたりから『伊藤くんに出会わなかったらこの式場を選んでなかった』と言っていただけたことは本当に嬉しいですね」

レゲエ好きなふたりが、ライブ風の結婚式を挙げたいという要望にも、元々クラブハウスだったアクアスタイルという式場が応えられるとのことで、予定していた式場にも行かず、決断をされたという。「アクアスタイルは照明や音響が整っていて、まさにおふたりがしたい結婚式を挙げられる場所でした」その後、プランナーである岸川さんに引き継ぎをした伊藤さんだが、今でもおふたりとは仲が良いそうだ。
当時を思い出しながら真剣に、でも明るく話してくれた岸川さん

カミングアウトは最初の打ち合わせで


「伊藤から引き継いだ後、半月後に最初のお打ち合わせをしました。楽しい、少し変わった結婚式をしたいとのことで、終始明るく話してはいたのですが、どこか不安そうな様子もあり、どうしてだろう?と、話を詳しく聞いている内に、ご新郎様が当事者であることを教えて頂きました。」

通常2時間のところを5時間とり、ゆっくりと話を聞いたという岸川さん、インタビュー当時は言わなかったが、伊藤さんいわく岸川さんもお話を聞いているうちに涙がでてしまったそうだ。LGBT当事者だから、とかではなく、生い立ちやおふたりの抱えている不安、結婚式や親御様に対する想いを聞いている内に、自然と感情移入してしまった。

どういった流れで結婚式のプランニングをしたのか


「不安を抱えてはいらっしゃったのですが、基本的に明るく楽しい打ち合わせで、素直に考えを話してくれたので、本当に他のカップルと何も変わらずにプランニングは進めていきました。私はプランナーとして『やりたいことをそれ以上でこたえていく』そのことだけは心がけましたね。」

他のカップルと同じように不安を解消しながら、打ち合わせも自然に進んでいったというが、一つだけ考えさせられたことがあった。

「『生い立ちムービーを作りたい』というご要望があったんです。ご本人も私も、この時はどう新郎様を紹介しようと悩みました。新婦様のゲストにはそのことを知らない方もいらっしゃったし、小さいお子さんもいるため、どう表現すべきなのかかなり考えました。」

結果として、元々あるテンプレートに当てはめるのではなく、一から写真や言葉のチョイスをしてオリジナルで作ることにした。「その中でもカミングアウトをする部分は言葉だけでなくムービーで伝えたいということで、新郎様へのインタビューを別で撮影しました。それは勿論カミングアウトだけでなくご両親への感謝を伝えるという意味あいもあり、その為のムービー作成スタッフも交えての打ち合わせも別でとり、じっくり構成を練りました」

まるでライブ!?幸せいっぱいの結婚式


当日は人前式であったこともあり、友達夫婦に生演奏をしてもらったり、花摘み入場という、ゲストの方に花を持ってもらいそれを集めてブーケを作ることで、参加型でゲストが楽しめる挙式となった。「披露宴の最中も休憩中にご新郎ご新婦様が急いで衣装に着替え、歌いながら再入場することで、ライブのように歌って踊ってもらいました。」

コンシェルジュの伊藤さんも「思い入れがあったおふたりなので、仕事を抜けて少しだけ出席させて頂きました。今でも鮮明に覚えていますが、カメラマンの方も『こんなに新郎新婦が動き回って、こんなに楽しい結婚式ははじめて』というくらい、素敵な結婚式でした」と、オリジナリティ溢れる結婚式だった。
写真はイメージ

カミングアウト、生い立ちムービーに対するゲストの反応


そして、いよいよカミングアウトも含めたふたりの生い立ちムービーが流れる瞬間がきた。

「私は正直少しだけ不安な部分もありました。でもゲストの方は皆さん自然と受け入れていて、何よりもそれまでに新郎様のお人柄が伝わり、愛される方だったので、ムービーの後も変わらず接していました。月並みな言葉かもしれませんが、絆が深まったように感じましたね」

ムービーの中では、思い出したくない記憶があること、生んだ両親に対する怒りなど、ご新郎の素直な気持ち、全てが込められていた。そんな中でも、最後には乗り越え、今幸せだ「生んでくれてありがとう」と、両親に心からの感謝を伝えたムービーには多くの方が涙していた。

LGBTのゲストからサプライズスピーチ


「ムービーの後、感極まってご新郎の友人で同じく当事者の方がスピーチをサプライズでされたんです。その方は年配の方だったこともあり、新郎様に『私はこれまで、貴方に生き様をみせてあげる、道しるべになってあげる、そういう意識だった。でも今日の挙式で、貴方の楽しそうな様子、笑顔をみて、逆にすごく勇気をもらった。今まで勇気を与える側だと思ってたけど、勇気をもらいました。ありがとう』とスピーチをされていました。」

結婚式はカップルだけでなく、ゲストの方の心や想いを動かせる、そう再認識させられた瞬間だった。

今回の挙式を通じて学んだこと


「結婚式自体が色んな人の気持ちを動かせる、すごいパワーをもっているものだと改めて気付かされました」そう語るのはウェディングプランナーの岸川さん。

「結婚式を毎週のように担当させていただくと、結婚式の重みのようなものが薄まってしまう部分もあるのですが、まだまだ日本はLGBTの方を含め結婚式のハードルが高いことを感じました。グローヴとして地方で大きい式場がなく、自分らしい結婚式があげられない不幸なカップルを救うという考えをもっています。そういった部分からも特に地方の難しい状況の中にいるLGBTの方にも挙式を挙げてもらいたいです。」

結婚式はただ愛を誓うだけでなく、それをたくさんの人に認めてもらう意味もあるのだと学び、「地方でより孤独になりがちなLGBTカップルの窓口になりたい」そう熱く語る岸川さんの目はまっすぐだ。
伊藤さんは爽やかな笑顔が印象的だ

今でも仲良し!挙式を終えて


挙式から2年がたつ今も、おふたりと仲が良いという。つい2週間前にも会ったという伊藤さんいわく「新郎様は緊張しすぎてか当日の記憶がなかったそうですが、今でも通勤中は結婚式のムービーを車の中で流しているんです。またご家族にも挙式後にDVDをお渡しし、お客様がくるとそのムービーを毎回見せているそうです。」また結婚式を挙げたいと今でも言われるくらい、ふたりにとって本当に最高のウェディングが挙げられたのだ。

グローヴが他の結婚式と違うのは「人」


お話を聞いているだけで、他とは全く違った結婚式を作ってきたことがわかるが、それはどこにあるのだろうか。「究極、演出や会場をつくり、豪華な結婚式を作ることは誰でもできます」そう語るのは伊藤さんだ。

「でも働いているスタッフのモチベーションが低かったら、提案の内容もありきたりで、意味がない。僕らが決定的に違うのは「人」だけなんです。一人一人が目の前のお客様のことを本気で考え抜く。私たちなら、ゴミ捨て場であろうが、そこらへんの公園であろうが、最高の結婚式を挙げられる自信があります。おふたりが大切にしている部分は何か、ふたりだからこそのテーマや軸を決め、演出・プログラムを組む、そこで唯一のその人たちだけの提案になるんです。」

本当に「一組に一つの結婚式」を丁寧に作り上げてきたからこそ、出てくる自信と言葉がそこにはあった。

お二人からのメッセージ


伊藤さん
「今、LGBTという言葉がやっと世間に認知され、受け入れられている、それはとても良いことだと思います。ただ一方で、LGBTはテレビの中のイメージであったり、ステレオタイプが存在しているのも事実です。私としては、LGBTという言葉があることそのものに違和感を感じるんです。何も特別じゃない、一人の人としてこれからも向き合っていきたいですし、もしそのことがハードルになっているのなら、その不安を解消できるよう、ただ待つのではなく私たちからも歩み寄っていきたいです」

岸川さん
「どんなカップルの方でも、結婚式を挙げることに対する迷い、悩みがあることはすごく悲しい、あってほしくないと思っています。せっかく結ばれて幸せなおふたりなんだから、それはもちろんみんなが祝福していいことなんです。私は毎回プランニングをさせていただく中で、おふたりを最後にはとても好きになるんですね。でもそれは新郎新婦だからとかではなく、『そのおふたりだから、人間として』好きになるんです。LGBTであることは関係ありません、人間として向き合って良い1日を一緒に作っていきたいと思っています。」

最後に


今回、LGBTのカップルの挙式をあげているからという理由でお二人にお話を伺ったが、おそらくどのカップルについてインタビューをしても、同じように熱く語ってくれるのだろうなと感じた。それくらい二人にとって、グローヴという会社にとって、一つ一つの結婚式、カップルの形は違っていて当たり前で、全てが祝福されるべきものなのだ。

特に地方という、LGBTにとってはなかなかカミングアウトができず孤独になりがちな場所で、こんなに熱い人たちが働く結婚式場があることは当事者にとって大きな勇気になるだろう。

そんな地方のLGBTウェディングを考えるインターンをこの夏グローブエンターテイメントは開催する。この記事を読んで少しでもブライダルに興味が出た学生は参加してみるのも良いだろう。

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